LB4

「じゃあ一応聞くけど、何があったの?」

「実は、4年間セフレ同然だった男友達と、付き合うことになりまして」

ここまで聞いた早川先輩は、眉間に思いきりシワを寄せて冷たい目をした。

「その時点で私にはだいぶレベル高いんだけど」

私は気付かないフリをして続ける。

「その彼の趣味が女遊びなもんで。付き合うことにしたは良いけど、さっそく明後日他の女とのデートの約束があるとか言ってて。浮気されないコツをですね……」

「コツなんて知らないよ。ていうかなんか目腫れてない?」

「あ、バレました? 昨日ちょっと泣いたんです。だから是非相談に」

私にもとうとう「彼氏」ができた。

女遊びが大得意で、私以外にも女がいる(と思われる)しょうもない彼氏が。

名前は大悟という。

早川先輩との関係を改善するために、このことを相談してみろと提案したのは、大悟自身だ。

「そんな男を選んだのが悪いんじゃないの?」

「ですよねぇ。でも、つい付き合うって言っちゃったんですよ」

「なんだかメチャクチャね。でもおもしろいから、もっと聞いてみたいかも」

そう言って笑った彼女を、私は初めて好きだと思った。

そして初めて、会社が楽しくなるかもしれないとも思った。

昨日より少しだけ、大人になれたのかもしれない。





Bother03:大人になれない私

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