T&Y in神戸
「お疲れさまでした。」
岸の言葉にパソコンの電源を落とす。
「駅までお見送り致しますわ。」
「ああ、頼むよ。」
時計を見れば丁度いい時間だ。
「お土産、忘れないで下さいね。」
岸の声がどこか遠い。
車中、窓の外の流れる景色を食い入るように見つめる。
春の空はあっという間に暮れていく。
由香利はもう、駅で待っているんだろうか……。
薄暗い景色の中ひとり佇む姿を思うと、時間に余裕があろうが関係なく心が急かされる。
つい、指がリズムを刻む。