T&Y in神戸
前から二両目の指定席の窓側に由香利を座らせる。
動き出した窓の外は夜の闇。
人の営む灯りが星のようだ。
「どれぐらいで着くかな?」
「三時間ぐらいだな。」
由香利が窓の外から視線を俺に向けたが。
「ーーーツ」
直ぐに反らされた。
「ん?……どうした?」
ちょっと俯いて、顔を隠す由香利の髪から覗く耳が赤い。
「………近い、よ。」
言われて見れば、確かに。
普段にはない距離だが。
「いつもはもっと……」
耳元で意味深に囁く。
「~~~っ!?」
由香利は耳を押さえて距離を取ろうと窓に背をつけた。
真っ赤な顔で睨む姿も、それすら可愛くて仕方がない。
「意地悪だ。」
膨れる頬を指の背で撫でて、耳を塞ぐ手を取った。