T&Y in神戸

出発前日。



最後の年度末の会議にジジイが参加してきた。
急な御前会議に慌てたのはその会議に盛り込まれた報告会の面々。
「胃が痛い」と嘆く者まで出る始末に、「この会議は本社内で結果報告と、今後の流れを再確認、共有することが目的。気楽に。」と諭すものの、若いメンバーに“妖怪”の存在は大きすぎた。

ジジイの目的は会議等ではないと、真の目的は俺なんだと、彼らの気持ちを軽くしてやりたいが、自爆的な行為は進退に関わるーーー。
岸は笑いながら、「“肝だめし”ですわ。今後のプロジェクトのメンバー選出の際に役立つでしょう。」と、慰めどころか追い討ちをかけていた。

因みに、好印象だったのは前評判通りの柏木。
次いで、システムエンジニアの門崎だったが、両名とも残念なことに現場を知らない管理職が多すぎた事と専門的用語に理解が薄く、他分野の管理職に協力を得ようとするには足りない部分が露呈した形となった。

問題点の顕在化にジジイも満足を得たようだった。


「わが社の延びしろは大きいと信じる」


総評を求められたジジイの、最後の一言が全てを物語っていた。

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