食卓
立ち上がる私を

お父さんが見上げる。


「…どこに行く?」


「…ちょっと…」


「…そうか」




お父さんの声には

まるで生気が感じられなかった。


命に別状はないが、

しかし。

自分の発言のせいで。

そんな思いが、

彼を支配しているのだろう。



お父さんはベンチに座ったまま

動こうとしなかった。
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