食卓
「…家には帰らないの?」


お姉ちゃんはタッパーを

投げるように床に置いた。




「あんねェ…

あいつがいる限り

私は帰んないよ。

私の父親はパパひとりだもん」




「…」




「そりゃあんたはいいよ。

パパの記憶が大してないんだから。

でも私はパパと4年過ごしたんだ」



あんたはいいってなんだ。



「…ごちそうさま。

もう帰って」



私はタッパーを手に、

段ボールの要塞をあとにした。






正体不明の虫が

私の腹の奥の方で

うごめいていた。
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