食卓
「お前に何がわかるー!!

って言いたかったんだけど。

その同僚の奥さん、

認知症だったんだ」


「…」


彼は、自分の頬の絆創膏を

そっと撫でた。


「…カナコはすごいな。

幸子を傷つけないように…

俺なんか、事実は事実だっつって

優しい嘘もつけない」



優しい嘘。

お姉ちゃんはまだ生きている

という、『嘘』。




ママを傷つけないために。






胸がずきんと痛んだ。


ストライク。
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