王様の友達
こいつは全てが他の奴とは違っていた。

「中川って猫っ毛だね。将来はげそう」
「あんたの鼻の下にあるホクロって鼻くそみたいだね」
「君わがままだねーまるで王様の様だよ。裸の王様的な」
「あだ名、裸の王様からとって、はーちゃんと王様どっちがいい?」

なんなんだこの女はっ。大抵の女は俺を褒め称え、媚びて、しな垂れかかる。みんな俺を王子様扱いだ。そしてみんなその后の座を狙ってるというのに。
こいつは俺を王様扱い。完全にばかな王様として扱ってる。

むかつく。

何故お前は后の座を狙わない。



「よっ王様!」

人の睡眠を邪魔するこの無神経な声はとよこだ。

「王様って、お昼いつも教室にいないと思ってたらこんな所にいたんだ」
「俺がどこにいようがお前には関係ない」
「さようでございますか」

お昼はいつも教室を出て屋上に行くと決めていた。褒められるのは好きだけど、たまには何も言われずに一人になりたかったから。
それに教室よりも日差しや風を存分に感じられて気持ちがよかった。

「隣、座っていい?」
「別に好きにしろよ」

とよこがすぐ隣に座る。あぐらをかくのがとよこらしい。足の間にコンビニの袋を置いてなにやらごそごそとあさっている。

「はい、あげる」

差し出してきたのはなにやら着色料と、砂糖がふんだんに使われていそうな飴。

「いらん」
「そう?おいしいのに」

包みをあけるその指がとても細いことに気がついた。爪もピカピカに磨かれている。

「うまっ」

風に乗っていいにおいがしてくる。これは飴のにおい?それとも……

「いい風ー。気持ちいいね」
「ああ」

なんだ今のは。なんだか胸がもやもやする。

「ここにいると日に焼けるぞ」
「日焼け止め塗ってるから平気。王様はいいの?」
「男は別に日に焼けていいだろう」

きょとんとするとよこ。俺はなにかおかしなことを言ったか?

「朝は日に焼けるからって助っ人断ってたじゃん」
「建前に決まってるだろう。助っ人なんかいれて勝っても意味がないだろう、もっと自分たちを磨いて実力で勝負するべきだ」




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