きみのふいうち


わたしがバッグから財布を取り出して、

「仕事以外の話って?」

と話の流れのままに訊ねると。


暁くんは、店員さんから伝票を受け取りながら、小さく首を傾げてわたしを見た。


「っ?」


その視線が、暁くんの瞳に浮かぶ色が、なんだかいつもと違う気がして、わたしは思わず目を逸らしてしまった。


な、なに?

上手く説明できないけど、なんていうか……。

ものすごく甘い瞳、してなかった?



「……ホラ、やっぱり恋愛話とか。よく考えたら俺、花南さんのそういう話聞いたことなかったなって」


財布からお札を取り出しながらそんなことを躊躇いなく言うものだから、私はものすごく動揺してしまった。

それでもなんとか平常心を保とうと大きく息を吐き出して、もう一度笑顔を作る。


「もう、わたしに彼氏いないの知っててそういうこと言うー!わたしは暁くんの彼女さんのお話、聞きたかったよ!」

笑いながらそう言うと、暁くんは何かを言おうとしていたけど。

わたしはそれには気付かないふりをして「お会計いくら?」と話を無理やり終わらせた。


……嘘だよ。

彼女の話とか、本当は絶対に聞きたくない。

だからもう、この話は終わりにさせて。

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