きみのふいうち
振り返った先、わたしの前に立っていたのは、すらりと背の高い男。
黒縁メガネの奥の奥二重に、男のひとにしては小さめの鼻梁、薄めの唇。
知的な雰囲気を感じるのは、そのメガネのせいだろうか。
最後に彼に会った時には明るい茶色に染められ長めだった髪は、今は黒くほどよい長さで綺麗にまとめられている。
「……桐原くん?」
わたしが呟くように呼ぶと、彼は嬉しそうに目を細めて笑う。
その人懐こい笑みは記憶のなかのそれと少しも変わっていなくて、一気に懐かしさがこみ上げてきた。
「久しぶりだな!花南の卒業以来だから、2年ぶりか!はは、おまえ全然変わってねーし!」
あっけらかんと笑う彼に、わたしは思わず苦笑を零した。
「桐原くんの、そういうちょっと失礼なところも変わってないね」
これでも2年間社会人やってるんだもん、大学生のころよりは少しは大人になった……と信じたい。
桐原くんは大学時代仲良くしていた友達のひとりだ。
わたしが通っていた短期大学部に併設されていた、4年制大学に通っていた彼。
わたしが卒業して以来、特に連絡も取っていなかったから、彼が言うとおり会うのは実に2年ぶり。
「なんでここにいんの?……って、もしかして、花南の後輩になってたのか、俺」
「そうみたいだね」