乱華Ⅱ





石垣に寄りかかっていた背を離し、少し離れた所にある小さなお地蔵さんの元へと歩いて行く。


そこからクルリと後ろを振り返った。



「タク」


「あ?」


「HAPPY NEW YEAR」


私の言葉にチラリとスマホを確認するタク。そして照れているのかなんなのか

「…おめでとう」


ボソッと小さな声で呟いた。

それに小さな笑みを零して、お地蔵さんの前へとしゃがみ込む。



財布から500円を取り出しお地蔵さんの足元へとそっと置く。
そしてゆっくりと手を合わせて目を瞑った。





明けましておめでとうございます。
去年はたくさん楽しい事がありました。

昔の私には考えられないくらいの出来事もいっぱいありました。



今、私は幸せです。

願わくば今年もそうでありますように。




参拝はしなかったから変わりと言っちゃぁアレだけど。
気分だけでも、ね。





隣に気配を感じて見れば、タクも同じようにお地蔵さんに拝んでいた。


< 171 / 200 >

この作品をシェア

pagetop