紫の瞳

見えない真実

〔同級生〕

チャイムが鳴り6時限目の終了を知らせている。
挨拶も終わり教師が退室した教室は、ガヤガヤと帰りの約束を交わす生徒の声で賑わっていた。


「お～い。今日も１日終わったぞ！　起きろよ。東雲。」

一人の生徒がこの賑やかな声の中寝ている

「よくそんなに寝れるよな？　夜何してるんだよ。」

東雲　碧（しののめ　あおい)が同級生に声を掛けられもぞもぞと頭を机から起こした。

「うるさいなぁ、どんだけ寝てもいいだろう。」

あくびをしながら答える。

「そんなに１日寝て、学年トップクラスの成績ってズルいよな～。」

東雲の唯一の友人、赤池　瑞葉（あかいけ　みずは)が口を尖らせている。

「瑞葉だって勉強出来るじゃないか。」

荷物を鞄に詰めていた手を止めて碧を睨む。

「俺は毎日頑張っているんだ！それでも学年50位がやっとなんだよ！
お前は寝てて10位以内っておかしいだろ。イヤミか！」

瑞葉は、鞄を手に持つと碧に向き直った。

「今日うちにこないか？　母さんが夕食を作って待ってるんだけど…。」

「ありがとう、でも今日は読みたい本もあるし、家に帰るよ。　おばさんにもそう伝えておいてくれ。」

碧は申し訳ない表情でそう答えると鞄を持って教室から出て行く
その後を慌てて瑞葉が追いかけていった。