愛なんてない
『相良だ。部活の件で用事があるが、今日は出てこれるか?』
感情などカケラもない平坦な声で、京はわたしを呼びだす。
時計を見ると午後3時半。
今から学校に行くと、着くのはたぶん5時を過ぎる。
でも、わたしは構わない。
京が何を望んでいようとも、わたしは京に……。
「はい。すぐ行きます」
わたしはすぐに返事をして、用件を訊かないまま電話を切った。
それからお兄ちゃんを起こさないように制服とカバンを手に取り、浴室に向かう。