愛なんてない
「ほら、熱いから気をつけろよ」
京がわたしにカップめんの味噌味を差し出してくれ、急いで目元を拭い笑顔で受け取った。
「はい、ありがとうございます」
割り箸をパチッと割ろうとしたけど、うまくいかなくて苦労した。
「何やってんだ、貸してみろよ」
京は呆れた顔でわたしから箸を受け取り、いともたやすく真っ二つに割った。
「望月って案外不器用なのな……」
しみじみとした口調で言われ、頬が熱くなったわたしは膨らまして拗ねた。