愛なんてない
車を運転中の京は何も話さず、わたしも押し黙ったまま俯きっぱなしで。
とてもプロポーズを承諾した男女の雰囲気とは言えなかった。
重くて暗い空気。
こんなことじゃいけない。
わたしも努力しなきゃいけない。
京に喜んでもらって、楽しいとか嬉しいとか。一緒にいてなにか価値がある人間にならなきゃ。
せめてそれくらいはしなきゃ。
わたしはそう考えて、国語科準備室であった出来事を思い出した。
そうだ。京はおにぎりとカップめんしか食べてないから足りないはずだ。