愛なんてない



けども、あの男の子は現れなかった。


わたしはずっと病んだ気持ちを抱えながら、どんどん膨らむ思いを持て余し苦しんでいた。


お兄ちゃんからプロポーズの話を聴いた夜、咲子さんの写真を無意識のうちに切り刻んだ末に燃やし、それを綺麗と微笑んで見たと気付いた時。


わたしは自分が恐ろしくなった。


いやだ、イヤだ! 嫌だ!!


――苦しい。


お兄ちゃんが愛しくて咲子さんが憎い。


この想いはどうしたらいいの?


わたしは気が触れたように相良先生に取りすがって叫んだ。


< 50 / 412 >

この作品をシェア

pagetop