愛なんてない
「そんなに言うならもういいです!」
わたしは襖を開いて台所に駆け込み、包丁を掴む。
「困らせてすいませんでした……先生にはカノジョもいるのに、ごめんなさい。もう……こんなわたしのことは気にしないでください」
わたしは背中越しに相良先生に叫び、玄関に向かって走った。
もう……やだ。
疲れた。
独りはつらすぎる。
お母さんとお父さんに逢いたい……。
わたしは包丁を持ったまま玄関から飛び出そうとした。
どうせ自分の命を断つなら、あの桜の木の下でと考えたのだけど。