小説家
第一章 出会い
*・゚.:*・゚*side 澪゚・*:.。.*.:*

━━━━遡ること一週間前




ピーンポーン…


無機質に家に響き渡るチャイム

私は今 、『榊』と書かれた表札がある少し古い一軒家の前にいる。

今日こそは絶対に…!

「絶対に雇ってもらうんだから!」

…そうも思いながら先程のチャイムは3回目。

もしやこのまま居留守を続けるつもりか。

それともいない?

…いやそんなはずはない。この時間帯はいつも部屋で小説を書いてるはずだ。


ピーンポーン


本日4度目のチャイム。

これでも出ないのだったら仕方ない。

最終手段だ。


ガラッ!


「すいませーーん!さくらだですけどおお!榊先生いらっしゃいますよねえ!?」

私は引き戸となっている戸を勢いよく開け、声を張って叫んだ。

ほうら、鍵かかってねえじゃん。

「せんせーー!さかきゆうとせんせーー!鍵かかってませんよーー!泥棒入っちゃいますよー!ていうかいますよね!?おきてくださああい!」

「…煩い。」

お!

「せんせい!やーっぱりいらっしゃいましたねーウフフ」

「…近所迷惑だ。いい加減にしないと不法侵入で訴えるぞ。あと本名で呼ぶな。」

「すいません、以後気をつけます。」

「その嘘何度目だ。」

ハァ…

深いため息をつき、私のことを睨みつけているこの人は、小説家の『榊 優斗』。ペンネームは『榊 悠』。今を時めく(?)小説会のスターなのだ!

先生の書く小説は、年齢層関係なく読みやすく、それでいてなんとも言えないラストで読む人の心を引き付ける。

それにプラス容姿がベリーパーフェクト。
32歳にしてそのなんともいえない妖艶なオーラ。

そのため、壮絶な人気を誇っている。

まぁ正直、私は顔に興味はない。
あくまで先生の小説に一目惚れしたのだ。

で、なぜそんな先生の家の前にいるかって?

それは…

「…何の用だ。」

「私を雇って下さい!」

「…またか。」
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