可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
渚はただでさえ目力のやばい目をさらに鋭くさせて、あたしに掴みかかってきた。
---------殴るつもりかな。
自分の状況をそうやって冷静に俯瞰していると。渚が思わぬ行動に出た。
「………え………?」
あたしの制服の胸元を掴んだその手をぎゅっと引き寄せて、噛み付くようなキスをしてきた。
くちびるをくっつけたまま、至近距離で目が合う。
あたしを睨みつける渚はすごく意地悪な顔をしていた。
-----------制裁のキスだ。
むかつく女を黙らせて傷つけるための、甘さも愛情も一切ないキス。
崎谷仁香という人間を徹底的に踏みにじるための行為だ。
だから渚はすぐに離したりせずにあたしにくちびるを押し付け続けた。