可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
渚にすがりついていたリア先輩の両手が、力なく垂れ落ちる。
憐れみを誘う泣き顔からすっと涙が引く。リア先輩はうつろな目で、じっと渚を見つめ続ける。
「由梨亜。……おまえの方が可愛げあって女らしくてやさしくても。それでも俺はこいつが好きなんだ。こいつとは付き合ってるわけじゃないし、フラれるかもしんねぇけど。でもそうなったとしても、もうおまえとは、好きでもないのにいい加減な気持ちで付き合うことなんて出来ない」
渚は自分のことを好きで好きでたまらないっていう相手に、あまりに残酷なことを口にする。
リア先輩は肩を震わせ、まるで呪うように「絶対に別れないから」と吐き捨てた。
「………だって私、ずっとずっと、ちいさな頃からなっちゃんのことが好きだったんだよ?他のどんな女の子たちよりなっちゃんにふさわしい女の子になれるように、いろんなこと、がんばってきたんだよ?なのに。……なのにこんな子に盗られるなんて絶対許せないッ」
「………由梨亜。けど俺は」
「どうしても。どうしても私と別れるっていうなら、私、めちゃくちゃにされてやるッ。声を掛けてきた名前もしらないようなどうでもいい人たちといっぱいセックスして、なっちゃんのせいでボロボロになってやるんだからッ!!」
捨て身の脅迫を残して、リア先輩は駆け出して行ってしまう。