可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

「……山根さん、完全に永久脱毛したいの?」

「そーそれ!脇とか脚とかやってみたいの!」

「ならエステより、脱毛やってる皮膚科とか美容外科とかクリニック行った方が確実だよ」

「え、そうなの?!なんで?」


山根がすこし食い気味に聞いてくる。


「……エステだと病院より弱い出力のレザーしか扱えないから。その分回数通わなきゃいけなくなるし、効果が出るのも時間がかかるよ。でも病院で脱毛すると施術料シャレにならないくらい高くなるから、とりあえずお試しに一度エステのキャンペーン行ってみるのもいいかもね」



あたしがそう答えて問題を解き始めると。
やたらと視線を感じた。

振り返ると山根がにやにやしながらあたしを見ていた。




「……何?」

「うん、崎谷っちって、普段美容とかそういの興味なさそうな顔してるけどさ。やっぱお母さんの仕事詳しいんだなぁって思って」


そう言って、山根があたしの腕を急に掴んでくる。



今日は初夏みたいな陽気のいい日で、ブレザーを脱いでワイシャツの袖口を捲り上げてた。

肌が露わになってるそのあたりを見て、山根が感心したように言う。



「体育のときとかに見て、実は前からずっと思ってたんだけどさ。崎谷っち、腕キレーだよね。もしかしてお母さんとこでもう処理済みとか?」



メイクや美容に興味あるだけあって、山根は意外に目敏い。


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