可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

「でもさ、正直崎谷さんとあの美魔女あんま似てないよね」

「白えり、50なのに超巨乳だしねー。ウチのおかんより年上ってわかってても、テレビ映ってるとついあの谷間に目がいっちゃうもん、あたし」

「あー不本意ながら俺もだわ、それ」




「……あのオバさんのあれ、豊胸だけどね」



あたしの暴露に、ニクちゃんと山根が固まる。



「え。うそマジ?」
「あのすごいおっぱい、ほんとはニセモノなの?」

「……あの爆乳、天然じゃなくて人工乳腺ぶち込んであるから。それに美魔女言われてるけど、本物そんなに肌きれいじゃないし。CM、誇大広告だから。目尻の小じわとかほうれい線修正しまくってるの分かるから正直見てらんないし」



言いながら再び設問に取り掛かろうとすると、ニクちゃんが恐々言う。



「崎谷さんってば。それだめでしょ。仮にも白えりって美のカリスマで売ってるんだから。娘が自分のお母さんのこと暴露してお店の営業妨害とかマズいよ」

「………かもね。今のオフレコでよろしく」



まずった。たしかについ毒吐きすぎた。





3.14、3.14、3.141592、3.1415926535897。





すこしだけ尖ってしまった心を落ち着かせるため、頭の中でいつもの呪文を唱えていると。



「そいえばさ。あたし夏に向けて脱毛とかしたいけど、白えりのクリニックでやってる500円脱毛とか、ほんとに効果あるのかなあ?」


山根が興味津々にあたしに聞いてくる。




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