可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

渚はあたしを責めるように言ってきた。


「おまえいつ『ぼっち』やめたんだ?ってか由太のことマジで落とそうとしてるわけ?」

「………はあ?」


本気で疑うように聞いてくるから、笑い飛ばすことも出来ないぐらいイラっとした。

こっちは勝手に七瀬にまとわりつかれて迷惑してるのに。言いがかりにも程がある。



「あいつブス専なの?ってかあたしが七瀬由太みたいなシャレが通じないタイプのヤツ、自分からちょっかいかけると思う?」

「さあな。おまえの素行の悪さなら、退屈しのぎに何やらかすかわかったもんじゃねぇよ」



渚はあたしがちょっと気圧されしてしまうくらい、怖い顔して言ってくる。


随分な言われようだけど。


あたしの素行の悪さをいちばんよく知ってるのは、キスフレ仲間の渚なわけで。トモダチ思いの渚が、あたしのゲスさを警戒するのも無理ないかもしれない。

一瞬そう納得しかけそうになって。でも我に返って反論する。



「………さすがにあたしだってそこまで馬鹿じゃないんですけど。そんなピリピリしなくたって、渚の大事なオトモダチに手なんか出さないよ」



無言のままの渚の視線が、突き刺さりそうなくらい鋭い。
どこまで信用ないんだろ、あたし。



< 92 / 306 >

この作品をシェア

pagetop