カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
私はあの時…第二ボタンと引き換えに逸希を失った。


「朝美、それって酷いよ!その日に落とすなんて…」


「まさか、本当に逸希君が第二ボタンをくれるなんて思いもよらなかったし・・・」


「私は朝美に頼み込まれて・・・」


「…もう過ぎた話でしょ?莉那」


13年も前の話…朝美からすれば、過ぎた話だ・・・


でも、私の時間はあの時から止ったままかもしれない。


私がスキになる人は何処か逸希に似ている人ばかり。


部長も逸希と同じで左瞼の下に小さな黒子がある。


私は今も逸希の幻を追い続けているのかもしれない。



「私…お手洗い行ってくる」


――――少し頭を冷やそう。


一番会いたかった逸希は居ない。同窓会に来た意味がなかった。

期待と不安を入り混じらせながらここに来たのに。


他の同窓生達の近況に何の興味も湧かなかった。











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