カモフラージュ～幼なじみ上司の不測の恋情～

《１７》社内のウワサ

莉那side－

退職かーーー・・・


つい口を滑らせてしまったが。

会社を辞めて、次の転職先なんて決まっていない。

仮に本当に退職したら、余計に逸希は私に対して罪の意識を持つ。

私は一人で社員食堂でランチを食べながら色んなコトを考えた。


「遊佐課長…同じの課の高木さんを泣かしたらしいぜ」


「へぇー。あの人、仕事に対して妥協はしない厳しい人だからな…」

新規事業部に異動した元営業部の先輩社員達の会話が自然と耳に入って来た。


「でも、仕事ではなく色恋沙汰で泣かされてたりして」


互いに背中合わせだから、私の存在に二人は気づいていなかった。
二人の会話はあらぬ域に入った。

このまま、黙っていたら…奇妙なウワサが立ってしまう。


「妙な憶測は止めて下さい」


私は二人の会話に水を差した。


「植野チーフ！！？」

先輩社員達は私の姿を見て驚き、口を噤んだ。