カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「盛り上がっていますね。お二人さん」


「長谷田部長!?」


「植野チーフ…今日退職届を提出しました。遊佐課長」


「長谷田部長、人事部の方には報告しました?」


「いいえ…」


長谷田部長も煙草を吸い始める。


「『ファションショー』の仕事はしたいと植野チーフの希望を汲んで、退職届は俺の手許に置いてあります。11月末まで勤務するなら、ボーナスの出る12月まで…延期した方がいいでしょ?」


「ボーナスか…幹部クラスは年俸制だから関係ないですね」
樋渡係長は寂しそうに漏らし、煙草の煙を吐き出した。


「そっか…俺も出ないのか・・・」


「沢木部長が胃癌か…嫌なヤツだけど…居ないと張り合いが無くなるな…」


「長谷田部長と沢木部長って同期でしたね…」


「同期で同じ営業部所属、お互い新人ながら…営業成績1,2位を争うライバルだった」


「へぇー」


「今となっては懐かしい話。同期で役職は同じだが、沢木部長の方が上だ」





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