これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
商談が終わり植草社長を送り出した後、常務室で今後の打ち合わせをした。

不意に思い出したように、宗治が声を上げる。

「そう言えば、あのエントランスにいた子誰?」

すぐに誰のことを言っているのかわかったが、確認をしてみる。

「エントランスにいたとは?」

「とぼけるなよ。お前も変に思っただろう?ただの派遣社員が植草社長のフルネームを知ってるなんておかしいと思わないか?」

やっぱり宗治も引っかかってたんだな。

「彼女は二宮恵さん。二カ月ほど前にうちの総務部に派遣されてきたようです」

眼鏡のフレームをあげながら答える。

するとその様子を驚いたように見ていた宗治の顔がニヤニヤし始めた。

「なんだ?堅物のお前が嫌に彼女に関して詳しいじゃないか……」

キレイな顔がニヤつくと余計にイライラするのは気のせいだろうか?

「別に、たまたま知っていただけだ」

ついつい、敬語を忘れて話をしてしまう。

「ふーん、たまたまね」

何かを探り出そうと、俺の顔を覗き込んでくる。
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