これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】

③いつもあなたと

「……んっ」

 ゆらゆら、ふわふわと揺れている。さっきまで車に乗っていたのに、まったく違う乗り物に乗っているようだ。

――ガチャ

 鍵の開く音がして、やっと私は現実に引き戻された。

 パッと目を開くと、勇矢さんの横顔が目に入った。

「えっ……あれっ私……」

「目が覚めたのか?」

 器用に私を抱えながら、勇矢さんはマンションの部屋の鍵を開けていた。

 私、車の中で眠ってしまってたんだ。

 やっと自分の置かれている状況を理解したころ、私はソファの上に優しく置かれた。

 するとすぐに私の膝にクロが飛び乗ってきた。

「クロっ!」

 私はすぐに抱き上げて頬ずりした。少し迷惑そうに見えたがそんなの気にしない。

「久ぶりに見たら、大きくなった気がする。ちょっと餌食べ過ぎなんじゃないの?」

 クロと会話をしていると、そこに勇矢さんが割って入ってくる。

「恵は……痩せすぎじゃないのか?」

 心配そうな顔をしながら私の頬を指でなぞる。

 少し冷たい指先が気持ち良くて思わず、目をつむりその感触を確かめた。

「俺のせいだな……ごめん」

 彼のせつない声に、私はそのまま首を振った。
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