これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「あまりに素敵なレストランなんで緊張してしまいました」

「そう? まぁ確かに普段なかなか来られる場所じゃないからね。今回は常務の予定がキャンセルになってしまったから、代わりに来ることができたんだ。彼に感謝すればいいよ」

 高浜さんのにっこりと柔らかい笑顔をみると、それだけで話したこともない常務に感謝しそうになる。

 レセプションで手荷物を預けて、年配の人に案内される。

 そのとき、一瞬私の顔を見て笑顔になった。

 ん……? なんだかこっち見てる?

 案内されながら親しげに見られて不思議に思う。ここのレストランに来るのは初めてだ。

 少し変に感じたけれど、それほど気にせずに案内された席についた。

「ワイン飲めますか?」

「はい。好きです」

 ワインリストを見ていた高浜さんが顔をあげた。

「……なんだか心配ですね。酔うと大変そうだ」

 くすくすと笑いながら楽しそうに肩を揺らしている。

「私、酒癖悪くありませんからっ! ちゃんとひとりで帰れます」

「気を悪くされたのなら謝ります。ちゃんとご自宅まで送らせてください」

 丁寧に謝られたら、許さないわけにいかない。

「わかってもらえたら構いませんから」

 そんな私の態度を見てやっぱり、おかしそうに笑っている高浜さんを見て私もなんだかおかしくなり、笑顔になった。

 彼の笑顔は私を笑顔にする。どんな気持ちの時でも……。
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