蒼の歩み
「……そうか、違ったのか。そりゃ悪かった」



「……へ?」



すると蒼君は、意外にもあっさりと、私の上から避けてくれた。なんだか、拍子抜けとは少し違うけれど。そんな気分でいたら。



「なに、期待してんの?」



と、顔を覗き込まれた。違う!と否定をしながら私も起き上がり、元の体勢に戻る。



「ところで、知ってるか?普通にするより、少し、そうだな、手だけとか。縛られる方が興奮するとかしねェとか」



「はい?」



そう言うと蒼君は突然、私の両手首を軽く掴んできた。



「好意のある相手にレ○プ紛いな事されてェ願望あるヤツって結構いるぜ」



「へ、へぇ。そうなんだ……」



どうして私の手首を掴んだの。どうして今そんな話をするの。



「まさか蒼君、盛っ……」



躊躇しながらも思った言葉を口に出そうとしたら、掴んでいた手を離され、変わりに私の言葉を止めるかのようにガシッと頬を片手で挟まれた。



「むぉ……」



おかげで変な声が出てしまった。
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