ハートロッカー
あたしの視界に入ったのは、雪の結晶の形をしたピアスだった。

外だけじゃなくて、中でも雪を見ることになるとは…。

ああ、でもこのピアスは…。

あたしの頭の中に浮かんだのは、大政の顔だった。

1週間経った訳だけど…大政は、どうしているのだろうか?

彼から逃げるために家出したのに、これじゃあ逆効果だ。

むしろ逃げたせいで、余計に思い出しているような気がする。

「12月16日、か…」

大政の誕生日は、確かそれくらいだったような気がする。

――この雪の結晶のピアス、気に入ってくれるかな?

「いらっしゃいませー」

気がつけば、あたしは店の中に足を踏み入れていた。
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