スイートな御曹司と愛されルームシェア
 咲良がまたハンバーガーにかじりつくと、二人の間に沈黙が落ちた。お弁当を食べ終わって走り回っている子どもたちの笑い声や、出来上がった高齢男性の歌声が聞こえてきて、平日の公園ってこんなにのどかなんだ、としみじみと思った。いい歳して、子育てをしているわけでもなく、平日のこんな時間に公園にいる自分たちは、失業者にしか見えないんじゃないだろうか。

 思わず苦笑すると、翔太の視線を感じた。咲良は彼を見返し、ぽつりと言う。

「ねえ、仕事がないって、どんな気持ちになるんだろうね」

 返事に困ったのか、翔太は黙ったままだ。

「もうすぐ退職だから、求職活動をしなくちゃいけないんだろうけど、なんだか気分が乗らなくて。しばらくなら貯金が少しあるし、ブラブラしててもいいのかなぁ……でも、一人暮らしを続けたいなら働かないとなぁ……とか思っちゃって。翔太くんは私が働いている時間、いつも家で何をしてるの? 就職情報サイトとか見てるの?」

 それは前々から気になっていたことだ。咲良が家にいる時間は翔太も家にいるが、合い鍵のある場所を教えてあるので、咲良の出勤中に彼が外出したとしても、どこへ行って何をしたかはわからない。それに、居候を許しているのは行く先が見つかるまでだ。咲良だって職を失う今、翔太をいつまで家に置いてあげられるかわからない。

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