スイートな御曹司と愛されルームシェア

 その日の夜は最初の取り決め通り、翔太はソファを、咲良はベッドを使った。寝転がってノートパソコンで就職情報サイトを見ながら、咲良はため息をつく。塾講師の仕事で正社員はなかなか見つからない。落ち込みそうになったので、あまり興味はないが違う職種のページを開いてみた。そこには大手証券会社の求職情報が掲載されている。

「ねえ、翔太くんは仕事で株式を扱ってたんだよね?」
「はい」

 ソファで毛布にくるまっていた翔太が、体を起こし、ソファの背もたれに腕をのせて咲良を見た。

「外資系の有名企業がコンプライアンス・オフィサーを募集してるよ。コンプライアンス・オフィサーって何をするのかな」

 最後は独り言のように言いながら、詳細ボタンをクリックする。

「法令等違反事案の調査・対応、過誤取引の調査および訂正の承認・報告……? なんだか難しそうね。よくわからないわ」

 仕事内容の一部を読み上げ、咲良が深いため息をついたとき、ルームウェア姿の翔太が咲良の隣に腰を下ろした。

「あ、見てみる?」

 翔太の方にノートパソコンを向けたが、彼はモニタではなく咲良を見ている。

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