スイートな御曹司と愛されルームシェア
 翔太の声が聞こえてきて、ドアがノックされた。一瞬のうちに頭に血が上り、咲良は思わず震える声で言っていた。

「よくも戻ってこられたわね」

 ドアの向こうから、無邪気そうに笑う翔太の声が返ってくる。

「そんなに怒らないでドアを開けてくださいよ。急に出て行ったのは悪かったと思っています。でも」

 翔太の言葉を遮り、咲良はまくし立てる。

「でも、あなたにまんまと騙された愚かな女の顔を、最後に一目見てやろうと思ってやってきたってわけ?」
「え……」

 翔太の声から笑みが消えた。

「あなたのお兄さんの戸田創太って人が来て、TDと英進会のからくりをすべて教えてくれたわ。あなたは以前、居酒屋とバーで飲んでいて気分が悪くなったって言ってたけど、本当は私を監視してたのね? 失恋してやけになってる私なら、あなたみたいな甘い顔の男が〝キレイ〟だとか〝かわいい〟だとか甘いセリフをささやけば、簡単に落ちるとでも思ったんでしょ? 行く場所がないとか仕事を辞めたとか、よくそんな嘘を言えたものね」

「咲良さん、ちょっと落ち着いて。説明しますから、ドアを開けて話を聞いてください」

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