スイートな御曹司と愛されルームシェア
(彼くらいのイケメンなら、私じゃなくてもほかのどんな人でも拾ってくれそうなのに)

 そんなことを思いながら翔太の顔をじっと見ていると、彼が戸惑ったように咲良を見た。

「何ですか? 顔に何かついてます?」
「ううん、何でもない。じゃあ、着替えたらロビーで待ち合わせね」

 咲良はそう言うと、女性更衣室に向かった。シャワールームに入り、汗を搔いたポロシャツとスコート、インナースパッツ、下着を脱いで、熱いシャワーを浴びた。さっぱりして新しい下着、白のブラウスと紺色のフレアスカート、ライトグレーのカーディガンに着替える。

 鏡の前の椅子に座って濡れた髪をドライヤーで乾かしながら、今日は休日だから髪をまとめないことにした。カラーリングもパーマもしていないセミロングの髪は、黒く艶やかで手触りもしっとりしていて、咲良の中では唯一自慢できるパーツだ。メイクはいつも通り手の込んでいないナチュラルなものだが、なんとなく翔太に意地悪してみたくて、ゆっくりたっぷり時間をかけてメイクをした。

 ロビーに出たとき、翔太が待ちくたびれてどこかへ行っていないだろうか、と一瞬淡い期待をしたが、彼は忠犬よろしくロビーのソファにちょこんと座って待っていた。

「咲良さん、スポーツドリンクです。どうぞ」

 翔太が立ち上がってペットボトルを差し出したので、咲良は受け取ってソファに腰を下ろした。

「ありがとう。失業中なんだから、気を遣わなくてもいいのに」
「このぐらいさせてください」

 咲良がペットボトルのキャップを外していると、隣に座った翔太がじっと見てきた。
< 32 / 185 >

この作品をシェア

pagetop