スイートな御曹司と愛されルームシェア
結局、プロ野球のナイターの試合を終了までテレビで観戦してしまい、咲良と翔太が実家を出たときには、もう九時を回っていた。
「はあ、どうにかうまくいってよかった」
実家が見えなくなってから、咲良は深い安堵のため息をついた。
「立派に恋人役を務めてみせますって言ったでしょう?」
翔太の口調に得意げな響きを感じて咲良が見上げると、彼は何かを期待するような表情で咲良を見つめている。咲良に誉めてもらえるのを待っているみたいだ。
そのかわいらしさに負けて、彼の期待通り誉めてやる。
「うん、本当の恋人みたいだった。よくできました。ありがとうね」
翔太の顔が嬉しそうにパッと輝いた。単純でわかりやすい。
「でも、翔太くんが本当に少年野球チームのコーチをしてたなんて、びっくりしちゃった。いつまで教えてたの?」
「一年前までです」
「その話は本当なのね。仕事が忙しくなって辞めたんじゃ、心残りじゃない?」
咲良の問いかけに、翔太が視線を落とした。心なしか横顔が寂しげに見える。