スイートな御曹司と愛されルームシェア

 結局、プロ野球のナイターの試合を終了までテレビで観戦してしまい、咲良と翔太が実家を出たときには、もう九時を回っていた。

「はあ、どうにかうまくいってよかった」

 実家が見えなくなってから、咲良は深い安堵のため息をついた。

「立派に恋人役を務めてみせますって言ったでしょう?」

 翔太の口調に得意げな響きを感じて咲良が見上げると、彼は何かを期待するような表情で咲良を見つめている。咲良に誉めてもらえるのを待っているみたいだ。

 そのかわいらしさに負けて、彼の期待通り誉めてやる。

「うん、本当の恋人みたいだった。よくできました。ありがとうね」

 翔太の顔が嬉しそうにパッと輝いた。単純でわかりやすい。

「でも、翔太くんが本当に少年野球チームのコーチをしてたなんて、びっくりしちゃった。いつまで教えてたの?」
「一年前までです」
「その話は本当なのね。仕事が忙しくなって辞めたんじゃ、心残りじゃない?」

 咲良の問いかけに、翔太が視線を落とした。心なしか横顔が寂しげに見える。
< 53 / 185 >

この作品をシェア

pagetop