エゴイストで、ナルシスト。
「怖い人」
それは私がまだ小学5年生だった頃だ。
私は昔からの腐れ縁である近所に住む幼なじみ、武部薫(たけべかおる)と毎日登下校していた。
帰り道は今日の給食がキムチご飯で美味しかっただの、
マット運動が嫌だっただの、
それはもうどうでもいい話で大盛り上がりしながら家路についていた。
もちろんその日も、今日の晩御飯はなんだろうね、という話題で盛り上がっていたと思う。
しかし、家に着くまであと10分というくらいの頃、長い坂を登り終わると、
ふいに、薫ちゃんが後ろを振り向いた。
「どうかした?」
聞くと、薫ちゃんは可愛らしいくりくりの瞳をパチパチさせて、私に耳元で尋ねた。
「さっきからあの人、こっちじっと見てるから。何かなあ、て思って」
「え?そんな人、いた?」
慌てて私も振り返る。
そんな、じっとこっちを見てる人なんてーーー
そう、じっと見ている人はいない。
厳密にいえば、目で捕らえるかのような鋭い眼光で、全速力でこちらに走ってきている男の人がいた。
あれはヤバイ。
捕まったらやばい人だ。
しかもこの道は人けが少なく、よく変な人が出るから気をつけましょう、と先生が言っていた所だ。
身体の全身から、鳥肌が立った。
「に、逃げようっ!!」
「えっ?!」
私はすかさず、右隣にいた薫ちゃんの右手をとり、走り出した。
走り出すときは私が薫ちゃんをすぐ引っ張るように走り出したはずが、それはすぐに逆転した。
私は恐ろしいほど足が遅いのだ。
「さ、桜ちゃん!頑張って!!」
「が、がんばってる、んだ、けど!」
まだ少ししか走っていないのに、息が苦しくなってきた。
このままじゃ、私のせいで二人とも捕まっちゃう。
足音が、近づいてくる。
怖くて振り返るとこもできない。
やばい。やばいやばいやばいやばい!!
捕まるっ!!
どうしたらいいんだろう。
どうしたらーーー!
私は昔からの腐れ縁である近所に住む幼なじみ、武部薫(たけべかおる)と毎日登下校していた。
帰り道は今日の給食がキムチご飯で美味しかっただの、
マット運動が嫌だっただの、
それはもうどうでもいい話で大盛り上がりしながら家路についていた。
もちろんその日も、今日の晩御飯はなんだろうね、という話題で盛り上がっていたと思う。
しかし、家に着くまであと10分というくらいの頃、長い坂を登り終わると、
ふいに、薫ちゃんが後ろを振り向いた。
「どうかした?」
聞くと、薫ちゃんは可愛らしいくりくりの瞳をパチパチさせて、私に耳元で尋ねた。
「さっきからあの人、こっちじっと見てるから。何かなあ、て思って」
「え?そんな人、いた?」
慌てて私も振り返る。
そんな、じっとこっちを見てる人なんてーーー
そう、じっと見ている人はいない。
厳密にいえば、目で捕らえるかのような鋭い眼光で、全速力でこちらに走ってきている男の人がいた。
あれはヤバイ。
捕まったらやばい人だ。
しかもこの道は人けが少なく、よく変な人が出るから気をつけましょう、と先生が言っていた所だ。
身体の全身から、鳥肌が立った。
「に、逃げようっ!!」
「えっ?!」
私はすかさず、右隣にいた薫ちゃんの右手をとり、走り出した。
走り出すときは私が薫ちゃんをすぐ引っ張るように走り出したはずが、それはすぐに逆転した。
私は恐ろしいほど足が遅いのだ。
「さ、桜ちゃん!頑張って!!」
「が、がんばってる、んだ、けど!」
まだ少ししか走っていないのに、息が苦しくなってきた。
このままじゃ、私のせいで二人とも捕まっちゃう。
足音が、近づいてくる。
怖くて振り返るとこもできない。
やばい。やばいやばいやばいやばい!!
捕まるっ!!
どうしたらいいんだろう。
どうしたらーーー!