エゴイストで、ナルシスト。
「何やってんだおっさん」
頭上で響いた、呆れたような静かな声。
「ひいっ!?」
気持ち悪い男の情けない声と共に、
顎に添えられていた手は離され、力ががくっと抜け、崩れるように倒れた。
「桜ちゃんっ!」
混濁の意識の中、薫ちゃんが駆け寄ってくるのがうっすらと見えた。
「人が気持ち良く昼寝してる時にギャーギャー五月蝿いと思ったら…
いま最高に不愉快な気分だ。ーーさっさと退け」
その男の人の言葉を聞いたのを最後に、私は意識を手放した。
気持ち悪い男はその後いついなくなったのか。
彼は誰だったのか。
それは、次に目覚めた病院で知らされた。
ーーいま思えば、これが、初めての出会い。