今宵、桜の木の下で


えっ、――――



ええ、――――??



……あ、足、―――??



……誰の??




恐る恐る、視線を上げた、その先に



小さな男の子が ――― ……いた。



「嘘……」


……ちょっと、待って。



拝殿の中にある、小さな棚板の上に姿勢よくちょこんと腰掛けて、ぶらぶらと足を揺らしながらじっと前を見つめている。


この子、――― いつからここにいたの??

この雨の中に一人で???


……まさか!!


「お、おーい……あの、僕??」


問いかけに、反応は、なし。


聞こえなかったのかな……?


「……ねえ、――」


ひらひらと手を動かしながら、もう一度、今度はもっと大きな声で呼びかけみる。


「おーい、僕、―――」


一瞬の間が空いた、その後に。

キョトンとした表情を浮かべて、男の子は山門の方へと視線を向ける。


「こっち、こっちーっ!!」


……見たところ、一人、だよね??


「こっちだよー」


あ、もしかして……迷子なのかな。


「ねえ、大丈夫?? そこ、濡れてないの??」

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