泣くな。って君が言うから
変化と闇
ご近所さん達の寛大さか
母の人柄かは分からないが
小さな町内、全員で
かーくんと太一を育てていたように思う。

かーくんと太一が中学生になって
2人がザ・不良になっていった時も
見かける人、皆が声をかけていた。

「そんなアホな事してんと真面目にしいや」

「はーい」

近所の人と2人の
そんなやりとりはよく聞こえた。

2人は私との時間よりも友達との時間の方が多くなっていき
家に帰ってこない日も多かった。

寂しい。
またそれが私を包んでいく。

久しぶりにかーくんと会った時

「2人とも大ッ嫌い!」

と泣いた。

かーくんはいつものように
私の鼻をつまんで

声変わりし始めた声で

「泣くな」と微笑む。



あぁ、変わらない顔、好きな顔だ。


その日から、かーくんは
私と遊ぶ時間を作ってくれた。

遊ぶといっても
公園でダラダラ話してるだけ
だったり
ゲームをしたり
そんな程度の時間でも楽しかった。

寂しさがスッと消えていく。

昔と違って
太一とより、かーくんと過ごす時間の方が多くなった。
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