MIRROR-ЯOЯЯIM
ИOOM
ベランダで、夜空を見ながら話す私達。

「何でまたベランダなんかに呼んだんだ?」
「いや、ゆっくりできるかな~、って思って。」
「そんな理由か?」
「悪い?」
「別に。お茶飲んでくる。理奈も飲むか?」
「うん。」
「じゃあ、ちょっと待っとけ。俺入れてくる。」

都樹の足音が遠ざかる。

「…。」

息を吸って、吐いた。

ベランダに呼んだ理由は、本当はそんな理由じゃなかった。

告白する時は、月明かりの差す夜空の下でしたい。私は、好きな人ができる度にそう思うのだった。

これまで、何度か誰かを好きになったことがある。そのたびに私は告白の設計図を頭の中で描いていたのだが、どれも設計図のまま散った。

そうして失恋を重ねてきたから、恋愛に対して少し臆病になってしまっていた。

男子を遠ざけ、女子の中で生活し、もう傷つかないように、私は恋愛から逃げていた。

そんな時この世界に来て、都樹と出会った。

最初に彼女役を頼まれた時は、はっきり言って何を言っているのか分からなかった。さらにそこに恋愛逃げが加わって、あの頃は一秒でも早く彼女役を終えたかった。終えて、普通のクラスメイト程度の関係でいたかった。

今も、一秒でも早く彼女役を終えたい気持ちは変わらない。ただ、今の気持ちというのは…。

「はい、お茶。」

都樹が戻って来た。
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