中毒ポリシー

「長谷部(はせべ)?」

「あっはい!今からいきま…「先輩、しばらくこいつ借りててもいいですか?」



先輩の方に向いていた首を無理やり廉の方に向けさせられる。


こいつ…、なにやってるのよ!



顎にかかった手が痛い。


そして…先輩を見ている廉の顔も怖かったんだ。



「ああ…別にかまわないけど」



キョトンとした先輩の顔に満足げな顔をする廉。


信じられない、ありえない!


「じゃ、長谷部。ゆっくりな」


ニコニコと笑って、あたしに手を振って消えてしまった先輩がすごく名残惜しいよ…。



先輩の出て行ったドアをじっと見ていると、あたしの顎を掴んだままの廉が再びあたしの顎を自分の方へと向かせた。



「なっなによ…」


ちょうど逆光になって廉の顔が良く見えない。

でも…微かに不機嫌そうな顔をしていたんだ…。



「…由加里は俺から解放してほしい?」


「当たり前じゃない!あんたなんて大嫌いなんだから」



素直に首を振ると、廉は微かに…ほんの少しだけ口元をつり上げて笑った。


こんな顔…されたくない。してほしくない。


ドクンと変に脈打つ心臓があたしを苦しくさせる。


なに…?この感覚。



「由加里が俺にキスするなら解放してやるよ」


廉のその言葉にまた心臓が変になった。



「あ…あたしがそんなことするわけないでしょ!」



この心臓の動きはなに?こんなの知らない…。


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