中毒ポリシー

ぎゅっと締まる心が痛くて痛くて…どうしていいか分からないんだ。


「おう!廉。なんかあったか?」



静かに開いたドアの向こうに立っているあの影が…もっと心臓を締め付けた。


「んー?なんか呼び出し喰らった」


「告白かよー。相変わらずモテるよな、廉はさ」



痛い、痛い…。


ズキズキと痛む心が苦しすぎて、いやだ。


こんな話…聞きたいわけじゃないのに……。



「あ…あたしちょっとトイレ行って来るね?」



話を聞きたくなくて、逃げるあたしを廉の目線が捕らえる。



「由加里?「なんでもないから!」



廉の声なんて聞きたくないの、苦しいから……。


静かにしまったドアの音が心にぽっかりと穴を作っている。


寂しいとかそんなのじゃないのに…。


なんでこんなに心が痛くて、変な感じがするの……?



「由加里!」



後ろから聞こえる廉の声も聞こえないふりをする。



「あたし…っ廉の言うこと聞くの止める!」



こんな思いしたくない。

廉への想いなんて知らなくていい。



「なんて言ったんだよ」


冷たい廉の声も…怖いなんて思っちゃダメ。



「もう、廉の言う事なんて聞きたくない」



あたしを縛りつける理由なんて、廉にはない。


あたしも廉を縛りつける理由なんてない。


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