臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「大崎、ボディーは強く打ってもいいぞ!」

 飯島に言われて大崎が小さく頷いた。


「今のパンチも軽く打ってたんですか? 音が大きかったんですけど」

「まぁな。あれだけいい音がするって事は、ダメージがいかないように握らないで打ってたんだろうな」

 有馬に訊かれて飯島は答えた。

「ボディーだったら強く打っても大丈夫なんですか?」

「そうだな。ボディーだったら、余程の事でもなければ深刻なダメージにはならないからさ」


 飯島が話す間もスパーリングは続いている。

 白鳥が前に出て、大崎が足を使いながらいなす展開のまま、一ラウンド目が終わった。


 インターバルの最中、飯島はリングに上がって大崎に小声で話す。

「え、いいんスか先生?」

「まぁ、残り三十秒だったらいいだろう。だが、倒しにはいくなよ」

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