蓮月~ハヅキ~
「え、あの…スイマセンっ!!」



怒らせてしまったなら謝らなければ、と思ったあたしは彼…彼女に必死に謝る。



「女か男かなんて聞かれたら嫌ですよね!あたしも嫌ですし!嫌な気持ちにさせてしまったならスイマセン!!」



ヤバい、自分でも何言ってるかわからなくなってきた。



もう滅びろあたし。滅びて塵になって消えたい。



自分の滅亡を切実に望んでいたら、彼…彼女(めんどくせ)が、やっと顔を上げた。



目に涙を溜め、顔を真っ赤にしながらあたしを見ている。




…可愛いいなぁー。じゃなくて!ヤバいやん!!めっちゃ怒ってますやん!!



焦り過ぎて何故かなまりながら心の中で叫ぶ。
あたしつっこみ役でいくって決めてたのにな…ボケは封印してたのに。



別にボケたくてボケてる訳じゃないけどさ。




「えっとですね…女の子なのか男の子なのか純粋に疑問に思いましてですね!!
見たらわかりますよね、そうですよね。あたし馬鹿野郎なんでわからなくて…だから、あの、ホントにすいま――」


「ふふっ…」



すいません、と言おうとしたあたしの耳に、それはそれは可愛らしい笑い声が聞こえてきて、思わず目の前の子をガン見してしまう。

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