Kiss of a shock ~涙と~
「めんどくさ・・・。」


吐き捨てるように呟いて、


女の視線に捕まる事がないように背を向けた。


「だんな」


はっとして顔を上げる。


「どうかしましたか?」


広東語で話しかけられて、そうだ、交渉中だった―って思い出した。


「悪い、ちょっとぼーっとしてた。」


ひげで強面の中年の男は、珍しいと笑い続けた。


「ようやく私にも気を許してくれるようになったってことかな。」


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