紅色に染まる秘密の恋(休筆中)

一部の人しか知らない

公に出来ない秘密が

りとさんと私の間にはたくさんある。


会話の中で無意識に

口にしてしまったらしいけど

感謝してもし尽くしきれない

私の恩人《りとさん》の

本当の名前は【武内理貴斗】。


数時間前にオフィスで怒鳴られたけど

三木さんに捕まった私を助けてくれた

あの企画開発課の武内課長の事。


物心がついた頃から

《りとさん》と呼んでいる彼とは

上司と部下になる何年も前から

この街で、このマンションで

一緒に暮らしている。


彼の誕生日に

ピアスをプレゼントしていても

彼と私の間には血の繋がりは全くなく

夫婦でも恋人関係でもない。


住民票を動かしただけで

養子縁組も結んではいないけれど

彼はある事情をきっかけに

天涯孤独同然だった私を

引き取ってくれたと同時に

私の大切な保護者となり

唯一の家族にもなってくれて

養父と娘と言うよりは

養兄と妹みたいに過ごしてきた。


だけどその裏で私はずっと

彼に言えない大きな辛い秘密も

胸に心に仕舞って抱えてきた。


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