紅色に染まる秘密の恋(休筆中)

「……ありがとうございます。」

ホッとしながら私がお礼を言った時

『…紅。』

食器を洗いながら

彼がチラリと私を見た。


「……はい?」

私は一体何か?と首を傾げると

『…お前なりに良く頑張ってるのは
わかってるつもりだ。
ただ、ミスに関しては
他の奴らと平等に厳しく叱るが
家では会社みたいに叱る気はねえし
『家事を手抜きするな』とは
絶対に言わねえから
もう少し肩の力を抜け。』

「……はい。」

彼なりの優しくなった口調に

私はゆっくり頷いた途端

『…さっき風呂わかしたから
今日はお前が先に行って来い。
で、早く寝ろ。
明日はノーミスでやれよ!!』

と、私にハッパをかけた後すぐに

『……さっ、もう行けよ。』

りとさんは口角をあげながら

自身の頬についた泡を腕で拭った瞬間

彼の艶やかな黒髪の隙間から

有名なメンズアクセサリーショップで

当時限定品だった

シルバーのスタッドピアスが

彼の左耳2ヶ所にキラリと輝いていた。


デザインは異なるものの

その2ヶ所のピアスは

どちらも私が彼の誕生日に

プレゼントしたモノだった。
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