想いを伝えるその日まで
第二話·奈由の話


「お前、ガキだねー」

 黒田さんは、ニヤリと意地悪そうに笑って言った。
 本当に、いつも腹が立つ笑みを浮かべる人だ。


「……そんな言い方、黒田さんの方がガキみたいです! 私より二歳も年上なのに!」

 なんとか言い返す。

「だけど俺は、誕生日にぬいぐるみは欲しがらないからな」

 だけどいつも、すぐに反撃を受けてしまう。悔しいけれど適わない。

 それは、黒田さんの口が達者だからだろうか。

 それとも私が。黒田さんのことを好きだからだろうか。



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