佐藤くんは甘くない
「……て」
佐藤くんが、ふいっと顔を逸らして、何かを呟く。なんだ、と思って顔を顰めると、ぶっきらぼうに佐藤くんが、
「言って。……結城が、困ったり悩んだりしたら、真っ先に、言って」
「……えあ、」
衝撃のあまり、手に持っていた布団を落っことしてしまった。
佐藤くんはここぞとばかりにそれを手繰り寄せる。がばっとそれで顔を半分まで隠すと、
「俺より先に、他の奴頼ったら、」
そこで言葉をきって、勢い任せに言おうとしたのか大きく口を開いた。が、佐藤くんの中でセーブがかかったのか、ばんっと破裂音が聞こえるんじゃないかってほど耳まで赤くなる。
そして、ばふっと布団をかぶってしまう。
ちょ、とツッコミを入れようとした、その時。
「……怒る」
ぶすっとした、佐藤くんの声がやまびこのように響き渡る。そして、その言葉をようやく実感した後、顔が熱くなるのがわかった。
顔に手を当てる。熱い。くそう、佐藤くんのヤツ。
は、はずかしぬ……。
さっそく、佐藤くんの造語を使う羽目になったのだった。